人との会話に苦手意識がある方にとって、誰とでもすぐ会話が弾み、親しくなってしまうような方は羨望の的ですよね。特に会話に行き詰って気まずい思いをした経験があったり、どんな場所に行っても何を話したらよいのかわからない、と言う方にとっては「もっと会話が上手くなれたらよいのに…」と、つい我が身を振り返ってしまうこともあるでしょう。
「コミュ障」という言葉が身近になってずいぶん経ちますが、自分自身をコミュ障だと思っている方も、視点を変えれば実はそうではなく、楽しく会話を弾ませることができる可能性が十分あります。まずは自分の行動を振り返ったうえで、会話が苦手でなくなるよう、訓練をしてみませんか。
そこで今回は、会話の苦手意識をなくすための方法についてお伝えいたします。憧れがあるならまずはできることから始めてみましょう!
「自分はどうして会話が苦手なのか」を分析してみる
「どうして会話が苦手なのか」と言う理由は、人によって違います。まずは「何が『会話を苦手とさせているのか』」、自分の中の原因を分析してみましょう。頭の中で考えていくよりも紙にどんどん書き出していくと、発見が速いはずです。以下に「自分は会話が苦手」と思っている方の主な理由をお話しますので、参考にしてみてくださいね。
①そもそも「会話が苦手」という思い込みがある
あまり話したことのない方との会話は苦手でも、家族や親しい友人と話が弾むのなら、それは真の意味での「会話が苦手」ということではありません。自分を良く見せたいと緊張してはいないでしょうか。また、拒絶されたり嫌な顔をされたらどうしようと、起こってもいないことを極端に恐れてはいないでしょうか。
②過去に会話で失敗し、苦手意識が生まれた
自分の発言で人を怒らせたり、場を気まずい空気にさせた経験があると、会話をするのに勇気がいる場合があります。実はどんな人でも会話で何度も失敗しているものなのですが、また失敗したら嫌だと逃げの体制になっていないでしょうか。
③自分の会話内容を気にしすぎている
会話の後「あんなことを言ってしまったけど、あの人は本当は腹を立てているのでは…?」など、自分の発言に対して根拠のない心配をしてはいませんか?それが積もると確かに会話が面倒になりますが、人がおなかの中で考えていることなんて実際はわかりません。気にしすぎではありませんか。
「会話はキャッチボール」と心得る
これは会話が苦手どころか、会話が大好きな人にありがちなのですが、何の話をしていてもいつの間にかすべての会話を「自分の話」にすり替えてしまう方がいます。俗に「会話泥棒」と言い、大変嫌われる行為です。
A:「私はあの店のチョコレートケーキが好きなの」
B:「私も!でも私はショートケーキの方が好き!フルーツがいっぱいのってて私の彼も美味しいって言っててね~」
A:「あ、そうなんだ…」
B:「そうそう、私の彼、あそこのチーズケーキも好きでさ~」
のような会話です。
なぜ嫌われるかというと「会話がキャッチボール」になっていないからです。会話は「自分が言葉を投げる」→「相手が受け取る」→「相手が言葉を投げる」→「自分が言葉を受け取る」の繰り返しです。つまり投げたボールが帰ってこず、それどころか次々に違うボールを投げ込まれ、延々とそれを受け取るだけになってしまい空しくなるのです。
ですから、ボールが投げ込まれたら、ちゃんと相手が取れる位置に返してあげることが必要です。「あの店のチョコレートケーキが好き」と言われたら「私も!あのケーキって甘すぎなくて飽きないよね!」「え、あの店チョコレートケーキがおいしいの?」など、相手のボールをきちんと受け止めることができたら、次につながる話は本来いくらでもできるはずなのです。それが「会話のキャッチボール」となります。
一対一で会話をする時には「そこそこ話せること」を心がける
一対一こそ、会話の苦手意識がもろに出てしまうところかもしれませんよね。でも冷静になってみると、相手のペースや間合いが見えてくるものです。また「人となり」はファッションや持ち物などにもしっかり出ているものです。
そこからヒントを経て会話をしてみてはいかがでしょうか。でも「しっかり話そう」ではなく「ちょっと明るく話してみよう」「ちょっとゆっくり話してみよう」など、ちょっとの努力で大丈夫です。場合によってはスマホで撮った写真や手帳に書いたメモが生きるかもしれません。そんな身の回りのものもどんどん使ってみましょう。それがまさに「会話のキャッチボール」を助けてくれることもあるのです。
大勢の中で会話をする時は「無理に発言しなくてもよい」と心得る
大勢の中での会話では「無理に発言しなくてもよいのだ」と思えばずいぶん気が楽です。だいたいこのような場所には、話し上手や盛り上げ上手がいるものです。それこそ「聞き上手」や「相づち上手」も会話上手に繋がるのですから、楽しければ笑い、共感すれば頷いていればOKなのです。
もし何か発言を求められたら「焦ったように話さないこと」「ていねいに明るく話すこと」だけを心がければOKです。話題としては個人的なことよりも、その場のみんなが答えやすいような「共通項」について触れればそんなに無理をしなくても大丈夫でしょう。
相手を否定しない受け答えを心がける
会話のキャッチボールを終わらせてしまうひとつの原因として「相手を否定する」ことがあります。例えば相手の好きなものを「私は嫌い」とわざわざ口に出すことや、「変なの!」と笑うことがこれにあたります。
マイナスのリアクションをとったら、人はそれ以上話したくなるのが普通ですし、場合によってはそのままあなたから離れていく恐れがあります。たとえ自分が嫌いなことや興味がないことでも「否定しない受け答え」を心がければそのようなことは起こりません。
また、逆にあなたが相手からそのようなことをされたら「そうなんだ、嫌いなんだね」と言ってその会話を終わらせてしまえばよいことです。そもそも否定する言葉を平気で口にした時点で、その人は会話のキャッチボールができないのだとみなして間違いはありません。人から、こうして会話のノウハウを学んでいくのも良いかもしれません。
さて、会話に苦手意識を持っている方にとっては「そうは言われても…」と思われるかもしれません。実は筆者もそれほど会話が得意ではありませんでしたが、思いがけなく接客業を経験しかなり訓練されました。もちろん失敗もありましたが、仕事のためには落ち込んでばかりもいられず、失敗から「会話が続く方法」を学んでいったのです。
そもそも「話し上手になりたい」と思っている時点で、あなたは人嫌いではありませんし、話し上手になれる素質を持っているのです。家族や友人に素直に心の内を話して、会話のキャッチボールの訓練をするのもよいかもしれませんね。
何も面白い話題を立て続けに提供したり、心にしみるかっこよい言葉を話さなくてもよいのです。会話の相手にしっかり向き合うことができたら、自然と会話のキャッチボールも続くことでしょう!
まとめ
会話の苦手意識をなくすには
・「自分はどうして会話が苦手なのか」を分析してみる
・「会話はキャッチボール」と心得る
・一対一で会話をする時には「そこそこ話せること」を心がける
・大勢の中で会話をする時は「無理に発言しなくてもいい」と心得る
・相手を否定しない受け答えを心がける